Osaka
二人の脳裏にはいまだかつての廃墟だった頃のイメージが強く残っていたので、突然目の前に現われた高層ビルが、まるで廃墟の地底から現出したような錯覚に陥ったのだ。 「凄いな。いつの間にこんなものができたんや」 二人はしばらく林立する高層ビルを呆然…
わが大阪の明日は、工業地域、準工業地域、住居地域、商業地域と、区分けはいまよりもさらに画然となり、その間を縦横に広々とした道路が貫通している。地下鉄は高架となって、市内から市外各所にのびている。千里山の団地はすでに完成して日本一の規模を誇…
南大阪と天王寺を結ぶ上町線と恵美須町を結ぶ阪堺線はちょうど阪神間がそうであるようにそれぞれが異なる階層の人びとが住む地域を結んでいる。『めし』の主人公である三千代が使っている天神ノ森の駅は、より貧しい地域を通っており、高級住宅地である彼女…
林芙美子の『めし』は小説というよりもむしろの映画のほうが有名かもしれない。未完ということもあるが、小説としてはそれほど面白いものでもないからだ。あらすじだけを言うと身も蓋もない。つてを頼りに仕事を求め東京から大阪にやってきた(というよりも…
南海の天下茶屋と阪堺線の北天下茶屋のあいだの商店街は、三つの部分に分かれている。南海側のもっとも天井が高くタイル舗装され、いかにも支援事業で整備しましたという風情の比較的「近代的」な部分。そしてその奥には、言葉の上では同じようなアーケード…
すいなよう。とよく祖母はそう言っていた。祖母ほどではないが、母や叔母からもときおりこの言葉が聞かれるときがあった。あったというのは、いまはもうほとんどこの言葉を耳にすることはないからだ。富岡多恵子が西鶴について書いた『西鶴の感情』のなかで…
聖天山に続く曲がりくねった道の反対側には北天下茶屋の駅から、南海の天下茶屋駅まで続く薄暗いアーケード街がある。この路面電車の駅を下りてすぐは、壁を手で押すとそのまま崩れてしまいそうな店舗が連なっている。この10年のあいだにも、営業をやめた店…
この天下茶屋から東に坂道を登っていくと、住宅街が広がっている。戦前の東京周辺の宅地開発が同時に文教地区の形成を目指していたように、松虫から帝塚山にかけてもかつては大学を含め、とくに私学が多く存在していた。ぼくがはじめて働いた公立の学校もも…
しばらく続けていた仕事がすこし落ち着いたので、電車に乗って天下茶屋で下りる。夏休みになれば手術を受けねばならないから、しばらくはこうやって歩くこともできないという理由もある。廃校になった前の職場に勤めていたとき、今時は珍しくなった路面電車…
ふだん、お米は近くの米屋に買いに行っている。幹線道路に面しているために、前にちょっとした駐車場になるスペースを作っている。売っている米の袋には、その店の名前が印刷してある。店に行くとときどき自分で玄米を持ち込んで、店にある機会で精米してい…
団地の台所に張ってありそうな、たしか黄緑色の化学素材のシートが貼られた床の上に、精も根も尽き果てたといった体の下バーバがぺたりと座り込んでいる。引越を明日に控え、きっと無理をしているだろうから様子を見に行こうかと、階下の部屋のドアを開ける…
に出した手紙が戻ってきてしばらくになる。下バーバはおそらく東京の生まれで、大阪で商売をしていた男性と結婚した。会ったときには92であったか3であったか、いずれにせよ70年以上はもう大阪に住んでいたはずだが、しゃっきりとした東京弁を話し、SOPにた…
全国の皆さん。大阪へようこそ! http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091301000373.html
マンダイ二階の平日のコインゲーム・コーナーはある意味こういう感じかもしれない。 ちがうか(軽井沢はまた違うんだろうな)。 * こういうのかな。Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community作者: Robert D. Putnam出版社/メーカー: …
夜、9時を過ぎてからmosaのおしめを買いに近所、といっても歩くには少し遠い近所のドラッグ・ストアまで自転車で買いに出る。ほんとうは遠回りなのだけれど、通い慣れているせいで、自転車のハンドルを陸橋のほうにむけて切ってしまった。mosaの首が座ってい…
のひとが、なんとなく体で感じている、地域的なイメージ こういう感じなので、大阪府というのは、たいへんに人為的というのも変な言い方だけれど、南北に無理をして開発している*1。 昨日の話が正しければ、だけど、自然な人の移動は、これは東京(都)が東…
幸いなことに、新型インフルエンザはヤマト川をなかなか越えない。じつはとっくに越えているのかもしれないけれど、できればこのまま越えないで欲しい。そんなことありえないけど。しかし関西の人の流動は南北よりも東西の方がやはり大きいのだということは…
某月某日 mayakovからのメールに慌てて帰る。喉の調子が悪くなって、ひさしぶりにメプチン+インタール。家に帰るとちょうど二度目の吸入中だった。1ヶ月ほど咳が止まらず、いつか良くなるのかな、と思っているうちに急に悪化した。土曜は朝から病院。満員御…
文化施設などいらないのではないか、という皮肉というか、皮肉でも何でもなくたんなる現実なのだが、まあそんなことを書いたわけだが、たまたま立ち読みしていてなかなか面白かったので思わず買って読んでしまったのは 『大航海』のno.68 「美術館 その絶頂…
国際こども図書館というのが上野にあるらしいが、コレクションとしては大阪のほうがよいらしい。どうやら場所の問題はクリアーされそうだ。マジどうですか。三方一両得みたいですよ!
児童文学館はずいぶんむかし(ハシモト以前)からいらない、いらないとはみごにされていたもので、そういう意味ではいよいよかなあという感じであった。はみごにされていたわりに、今まで残っていたのは、関係者ががんばったからというのもあろうし、そのむ…
スノウ ブラインド (モーニング KC)作者: すぎむらしんいち出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/22メディア: コミック購入: 5人 クリック: 22回この商品を含むブログ (14件) を見る東方見聞録―市中恋愛観察学講座作者: 岡崎京子出版社/メーカー: 小学館…
39才になった。天神茄子さんの言う「微妙な年齢」はいましばらく続く。 * たぶんSOPが入院しなかったからだと思う。37-38はまるで小学校の頃に戻ったように長い1年だった。もちろんいままでよりも圧倒的にゆっくりと時間は流れていることは確かなのだが、38…
お見送りに関空。行きはSOPが喜ぶだろうと鉄人28号顔のラピートに、帰りはじいさんの車で帰る。 * 小野十三郎の詩にあるように工場地帯には独特の何かがある。美しいというのでもないし、崇高というようなものでもない。なんだろうなあ。懐かしさだろうか。…
昨日のエントリーで、「ある種の階級社会」とつい書いてしまった。これはしかし身も蓋もなく言い過ぎで、このへんはしかしもう少し微妙な問題をはらんでいる。もう少し当たり障りなく書けば、(大衆?)社会における知識人ないしは、知識人的モメント(うま…
いつもとは違う道を通って帰る。途中、JRの路線に沿って暗くなった道を走る。日曜ということもあってあまり人の乗っていない少し色の濃い水色の各駅停車とすれ違う。駅を出たばかりでゆっくりと走る電車の、白々とした蛍光灯の光に照らされた車内に、まばら…
選挙終盤らしいのだが、まだいまいち自分の選挙区のことがよく分かっていない。小選挙区をちらりとポスターを見るかぎりでは、非常につらそうだ。ちなみにmayakovによると団地には公明党しかやってこないらしい。ガチガチということか。まあそのような雰囲気…
電車にはずいぶん前から女性専用車両があって、金曜の夜とか結構混んでいるときに、ちょっとだけその車両が空いていたりすると、ちぇっいいなあと思ったりしていた。隣で汗くさいおっさん(ああおれもそうだった!)が、両手でつり革にぶら下がっていたりし…
大阪か。なんというか、そういうことがあってもおかしくはないというこの「実感」はなんかのステレオタイプで、根拠のないたわごとなのか。そうではないのか。 なんとなく未来の日本の感じがするんだよな。 * まあこういう「リスク」は今後おりこんでおかな…
ところで、前回お出かけした時は、御堂筋線の車中で この間、電車を待ってて並ばずに横入りした親子三人がいたのだけれど、3分ぐらい我慢していたのだが、あまりに腹が立ったので、「お前ら人間として情けない」「ああ恥ずかしい」と大声で痛罵してしまった…