テンションがあがりつつあるせいか

少し気を抜くとついつい人をdisってしまうので気をつけないといけないのだが、先日ふとしたひょうしに、『10+1(ten plus one)』という雑誌の最終号がメタボリズムの特集だと知って、手に入れてみた。この『10+1』というのは昔出始めの頃に何冊か買ったりしたものの、途中から出来損ないのマガジンハウスみたいな、同人誌ともなんともつかない退屈な雑誌になってしまったという印象があって、いつしか本屋で見かけてもああ、あるなあというだけで中身をチェックすることもなくなっていた。そのせいで風の噂で、どうやら廃刊したらしいと知っても、普通だったら手にとって記念に買ったりするものなのに、頭の片隅にその記憶が残っているだけだった。

とどいたものを読んでみると、この号は力の入ったとてもよい号で、雑誌としても非常にあらまほしい感じだ。
八束はじめ氏の巻頭言のようなものも、いままさに終わろうとしている雑誌とは思えない力の入りようというかアジりようも面白いものだが、それに続く四つの論考がこれがなかなか保存版だ。豊川斎赫の丹下研究室のオーバー・ビュー(とくにケヴィン・リンチとの関係は個人的になるほどそういうことですか、という感じ)、また浅田孝、高山英華というそれぞれテクストが読みにくいひとについての検討(それぞれ菊池誠・中島直人)。最後にこのあいだからたしょう気になりはじめていた内田祥文の金子祐介による紹介(最後がややふんわりしているが)と、いやいや部外者としては、かゆいところに手が届くというか、素人はどうしても服の上からしかかけないので、大変に面白うためになりました。いやいやまことに先達はあらまほしきことなり。

日本の都市(これを都市と呼ぶならば、だけれど)はおもしろうございますな。

今回は手に入って良かったけれど、まあこういうことがあるから、スタージョンの教えにあるように、一応は本屋でいろいろ目を通す時間を確保して、クズはクズとして受容しつつ面白いものに出会うきっかけをなくさないようにするのは大事なのだなあとは思うけれど、これがしかしなかなか・・・。