とりあえず

終了。ふう。ところで予定では来年これをもう一回やるはずなんだが勘弁してもらえないだろうか。

だいたい昼過ぎには開けるべき段ボールも開けてしまい、コンピュータもいろいろな線につながったので、すこし遅めの昼飯を食べに外に出る。もとあった分校の近くまで足を伸ばし、よく通っていた病院近くの昼食屋に行く。ここも7〜8年は通ったことになる。たがいに名残を惜しみ、また来ますよと言って外に出、もぬけの殻となりつつある学校に。

梱包と運び出しが最後まで残っていたので、引っ越しの課程をつぶさに見ることになったが、本が箱に詰められて外に出され、壁にドリルで固定されていた本棚が解体されると、長い間につもって丸まったホコリで、長くなった髪の毛をばっさりと切ったあとの美容院の床のようなことになる。それとどうしても残ってしまういろいろなゴミともなんともつかないもの。大きなものには廃棄を示す「廃」というシールが貼られている。

そのあとに誰が入るわけでもないから意味のない行為なのだが、残しておいた小さなほうきとちりとりを使って、床を簡単に掃いて、ゴミを一カ所にまとめる。気になるということもあるけれど、今までの引っ越しでもそうしてきたから、たんに習慣からそうしているのだろう。両手にほうきとちりとりをもって、いかにも働き者ですというふうに掃除をしていると、なんだかいい人になったような気がして、こころおだやかになる。合併騒ぎのときに見た、他人のちょっとうんざりする部分を、矮小化されたかたちではあるが、この引っ越しのあいだに、また見ることにもなったので、いささか不愉快な気分にもなったりしたのだが、そういったことも、体を動かしているあいだはどうでもいいようなことに思えてくる。当社比1.5倍という感じで、度量も広くなるようだ。
そういうじぶんに自惚れていると、残った電話線をほうきで引っかけてしまい、解体して立てかけてあった、学生が使うような安物のスチール本棚が倒れてきた。何とか直撃は避けたが、左手の甲にあたって、赤く腫れ上がり、右手に持っていたプラスチックのちりとりが身代わりに下敷きになって木っ端みじんになった。

ねずみの神様ごめんなさい、もう自分をいい人だなんてちらとも思わないようにします。

明日は卒業式。