例外的

なひとを除いて大学の引っ越しの準備は着々と進みつつある。いや着々かどうかはわからないけれど、地球の自転は止まらないものだから、しばらくして次の日になると、そのぶんスケジュールは消化されたことになる。

例外的なひとというのは、この資料の整理をするためには資料棚がいるねえ、でも棚をおくためには、この積み上がった資料やなんかを片付けないといけないねえ、どうしよう、と真顔で相談するようなひとだ。いったん全部出せばどうですかとしか答えようがないけれど、今日あたりは、棚を探して放浪していたようで、噂ではすでに部屋に収まりきらないほどの棚を確保しつつあって、今度は棚で部屋が埋まって整理ができない状況になるのではないかと、本気で心配されている。こういう、世間の大学教師像の期待を裏切らないひともいるのはよいことかもしれない。

ちなみに接地面が視認できないほどのいろいろなものがおそらくは机であろうものの上に積み上がっているのだけれど、この堆積物は何年ものですかときいたら、だいたい三年ぐらいと答えてくれたのだけれど、識者によると三年ではすまないそうだ。
それでも下の方はすくなくとも三年間はさわらなかったのですから、もうさっぱり捨ててしまっていいのではないですか、と整理法もどきの提案をしたら、それはできないとの即答が返ってきた。おもわず自分の浅はかさが反省させられたのは希有なもののもつ威厳がその答えには備わっていたからかもしれない。

しかし思い起こしてみれば、この何年間か、大事そうにソファーの上に置かれていたコンピュータとプリンタの箱は見あたらなかったから、それでも準備は進んでいるのだろう。地球は回る。

こちらは一段落したので、リハビリをはじめる。あまり進まないが仕方なかろう、何事も一足飛びにはできない。

(2/24付記)
白衣を着て頑張っている彼なのだが、先日部屋をのぞいてみると、投入されているはずの労働に見合った成果は不思議と発見できず、あまつさえ、ソファーのエントロピーは増大しており、ふたたびコンピュータの空き箱が復活していた。すばらしい。