そういえば

大学に入ってすぐのころ、エライ人に「きみらはわーわーいうが、いつまでもそんなことではあかん」と言われた。なにゆうとんねんこのはげのおっさん、とそのとき思うたが同じようなことを書いてしもた。
たしかにそのおっさんは、そういう仕事はちゃんとやれるひとではあった。内務大臣としてはたぶんかなり有能だった。しかし皮肉なことにもっと偉くなったとき、わーわー言って、無理偏にゲンコツで横車を押すべき時に押すことができなかったように思う。じぶんでわーわーいえへんかったらわーわーゆうてくれるひとを大事にせなあかんのだが、やっぱりそのときもそのひとは、わーわーいうてるひとたちを指して、あんなもんは屁の突っ張りにもならんとつぶやいたが、いま思うとしかし自信なさげだったような気がする。上手に使うとまた違った効果もあったように思うんやけど、プライドが許さんかったか、あるいはそもそもどうやって使たらええかわからんかったんやろうか。そういうやりかたは認められへんかったんやろか。

SOPがまた泣き出した。なにが悲しいのだろう。俺も泣きたいよ。

「なあなあやっぱまずかったかなあ。なんでこうなったんやろ」
「そりゃ悪女の深情けやからや」
「なんやそれ」
「深情けのとこ見る人は、そこだけみてお前をええひとやと誤解してくれるんや」
「ほんで」
「そやけど悪女やからたち悪いねん。私はこんなにあなたのこと思うてるんよ、ちゅうやつや」
「ああ、うっとおしいな、そやけど具体的に悪女ってなんやねん」
「いやけっきょくだまして裏切るねん。ほんまはだましたろーって思とるやろ。悪女は悪女らしくつべたーしとったらええねん」
「ああ、言わんとすることはなんとなくわかるけど、おっちゃん、それ政治的に正しい言葉遣いとちゃうで」