その2アドエスあるいはWindows Mobile

iPhoneは日本ではしばらくは無理だろうと見切りをつけたので、小さくなったことことだしと、ウィルコムスマートフォンを使っている。発売とほぼ同時だから二ヶ月ぐらいはたったのだろうか。使ってみての感想だが、これはWindows 3.1のようにすばらしくよくできたおもちゃだ。最初はあまりの使いにくさに気が狂いそうだった。マイクロソフトのエンジニアは何を考えているのだろうと、真剣に考え込んだが、普通の携帯のように使えるようにするために、あれこれユーティリティを入れはじめて・・・、はまってしまった。わざとに違いないと思うほどに、細部にわたって使いにくく設計された小さな小さなトラブルの種を、小さなソフトをいれて、ちょっとづつ潰してゆくことが快感になってくる。ああ、これは何かに似ていると思い、思い出してみると、そうだ、windows3.1に似ているのだと思い当たった。小さなソフトを常駐させて、使い勝手を向上させないとイライラしてとても使えないのだが、そうするとじょじょにOS全体が不安定になってゆき、それを解決するためにさらに・・・という傍目からは悪循環そのものだが、手段が目的に入れ替わってしまっているので、当人はじつは楽しくてしょうがないというあれだ。もう少し遡るとMS-DOS時代に、ロードする順番を変えたり、ビデオメモリにむりやり常駐させたりして、全体としては機器全体を不安定にしながら、小さな使い勝手を向上させていったのに非常に近い。このあたりマイクロソフトジャストシステムという日米二大巨頭の作る製品は絶妙なところがある。

そこにまたシャープのわざとにださくデザインされた安っぽいがしかし、ギミック満点のいかにも壊れやすそうなガワがまたいい味を出している。これが妙にすかしたかっこいいデザインだと、ガワだけすかしやがって!とたぶん腹立ちのほうが強くなってしまうのだが、まあ、おもちゃだしな、と思えるから、あんまし腹も立たない。いやプラスチックで銀色って、もうロボットのおもちゃでしょうこれ。
もし本気でビジネス・シーンを狙ってデザインしたのだとすれば、その勘違いっぷりはGood jobだ。

しかしこのWindows Mobileをくっつけた商品、どう考えても万人向けではないのに、よくマスマーケットに乗せて商品として成立しているなあと感心する。OSX以後のアップルとは対極を行く路線ではあるが、これはこれで嫌いではない。

ただ残念ながらWinodws Mobileはすでにマルチタスク化されているからだろうか、不安定になるのにも限度があって、今日もまだ一度しかリセットしてない。携帯として使うのにも、慣れてしまったということもあって、とくに不便は感じなくなり、いやそもそも履歴から遡って電話することがほとんどだから、じつはたいしてユーティリティなどは必要ないのだ。いろいろとインストールはしたものの、ユーティリティもほとんど使われていない。

つまり道具として安定してしまったのだ。ちょっと、いやすごく残念だ。