一休さん
と新右衛門さんメソッドというのがたぶんあって、まあ保護している者は、じつは被保護者だったという話のようなものを勝手にそう呼んでいる。そういえば、蘊蓄の粉飾がめんどくさくなって途中で読むのをやめてしまったが、一休さんみたいな拝み屋さんと、やっぱり新右衛門さんみたいなお武家さんだかお公家さんが出てくる夢枕獏の原作の漫画もあった。
たぶん双子のテーマというのはわりとそういう保護と被保護の逆転図式みたいなものとどっかで関係しているのだと思うが、昔、森脇真末味がそういうテーマでよく書いていた。おっさんになってしまったいま、読み直してみたらどう思うか、手元にないので確認のしようもないが、とくに『Bluemoon』という漫画はわりと意識的にそういうことを書いていたように思う。そういや大江健三郎にもなんかあったな。
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オノ・ナツメの『さらいや五葉』は同じ作者のもののなかではわりと安心して読めているのだが、ほっとくとそういう感じになりそうで、なんとなく不安な感じではある。率直に言って手垢のついたテーマなのでちょっとひとひねりしてほしい感じ。
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「まあそういうわけでやね、『さらいや五葉』まだちょっと登場人物が定型そのままという感じがあってそこがちょっと不満やね」
「定型って?」
「たとえば、ほら、お侍さんがほら、拝み屋さんと新右衛門さんみたいなお公家さんが出てくるえーと、作者がほら、ロックバンドのボーカルしてた男の子がお坊さんになる漫画描いたひとで、フッくん主演で映画化もされてて、えーと」
「わあった。わあった。でもちょっと『さらいや五葉』に出てくるお侍さんはじぶんでいろいろ悩んだりしてて、単純にホンワカしているだけじゃないから、ちょっと違うんとちゃーうん」
「いや個体が似てるというよりは、関係性の問題やねん。保護してるつもりの側がじつは保護されてたとかな。そういう関係性の問題。」
「ほおーーーう。ほんで『シグルイ』が一番エエと。どういう理屈やねん。」
「のーびムソー!」
「のーびむそー?」
「濃尾無双。虎眼流はな、濃尾平野で並ぶものがないねん。」
「狭いやん」
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ちなみに『シグルイ』というのはこういう漫画。
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