デモ

yeuxqui2006-11-12

金曜から雨が降り出しから嫌な予感がしていたが、土曜も雨になってしまった。SOPが風邪を引くと困るので、集会とデモには一人だけ参加することに。ぼやーといるだけなのだが、こういうのは枯れ木も山の賑わいなのだ。一番後ろのほうで(心の中で)いろいろ突っ込みながら集会を見ていると、なんか目の前にどこかで見たような微妙に場違いな若者がいるので、なんとなく見るともなく見ていると、こっちに向かってお辞儀するので、ええ?と思ったらさくだだくんだった。おお、おひさしぶりとか言って、四方山話タイムに突入。いつもだいたい一人だったりするし、微妙に部外者だったりもするので、話し相手がいて助かった。デモは本町通りから御堂筋で南に曲がって、難波まで。だらだら関係のない話をしたり、ときどき、気が向くと、はんたーい(だよー)とか、(やでー)とか言いながら2〜3時くらい歩く。

じつはデモというのはそれほど嫌いでもない。出るまでは億劫だが、出てしまうと、車道を歩くのが嬉しい。たぶん子供の頃を思い出すからだろう。夏の祭りには港で花火大会があるのだが、その日だけいつもは魚を積んだ冷凍車が行き来したりする目抜き通りが夕方から歩行者天国になる。昼間はテキ屋のおっちゃんに小銭をだまし取られたり、合成着色料と甘味料まみれの駄菓子を食ったりしながら時間を過ごすのだが、夕方になると、もうそわそわし出す。早い夕食を食うと、そろそろ港のほうでどーん、どーんと音がする。子供の頃は友達と待ち合わせたり、少し小さい頃は家族と一緒に、その目抜き通りに出ると、柵があってそこから向こうは、思い思いの場所をだらだらといろいろな人が歩いている。なぜかくつを脱いで裸足で歩いてみたり、側転をしたりする。昼の太陽に焼かれたアスファルトの熱気が手や足に伝わってくるのがうれしい。あとは港で、防波堤から打ち上げられる花火を見たり、港で見つけた友達と、風に吹かれて飛んでくる火の粉や、花火のかけらから、キャアキャアいいながら逃げたり、イカ焼きやかき氷を食ったり、買ってもらった風船を飛ばしてしまったりして過ごす。
脳みそのどこかに車道−夏祭り-花火という回路ができてしまっているのでデモが始まって、車道に出ると、なぜか自然と頬がゆるんでしまう。

さくだだくんはこういう普通のデモははじめてみたいで、ぬるいなあ、とか平和だなあとか、警官も親切だなあとか、言いながら歩いていた。御堂筋に出たら、このあいだ御堂筋でやったサウンド・デモではプロジェクターで、壁に映像映したりしましたけど、あれはかっちょよかったですよとか、沖縄でやったときとは厚くて死にそうでしたとか言っていた。こっちはたまたまフランスにいるときに、参加した反ルペンのデモの話をしたり、やっぱあれ、サウンド・デモってテクノ系なん? あれなんで?とか若者文化について情報を収集したり。(写真は昔パリで初めて見た、スピーカーとかPAとか一式(サウンド・システムっていうか?)積んだトラックやバンとかが先導するデモ。これは反ルペンのデモのとき見たやつ、テクノ系だった。)

まあふつうの社会人なので、普通にデモして、普通に終わる、はずだったのだが、じつはさくだだくんは新婚なので、雨もあがったし、お祝いすることにした。いちどお祝いのために家に呼ぼうとしたのだが、日程が上手く合わずに流れてしまっていたのだった。
新妻のたけにくさんと、mayakov そしてSOPと待ち合わせて、心斎橋のヴィオレッタに電話して予約。SOPがいるので、すこし早めの時間から始める。ヴィオレッタはひさしぶり。考えてみればきしどんの就職祝い以来かな。ヴィオレッタの料理はセンスがいい。間違ったことをしていないという印象。それに途中で出てきたクルミがすごくおいしいので、聞いてみたらやっぱりちょっといいもの使って一手間かけている。こういう手を抜きそうなところにも、しっかりとよい材料を使ってくれるのが嬉しい。知る人は知るのか、ここのレシピも結構真似されたりしているみたいで、最近は別の店でも見るようになった。
けれどセンスというのは真似できないようで、どうしても似て非なるものになる。派手ではないからフォトジェニックではないのだけれど、この店を教えてくれたYす子さんともども、10年通っているけどいまだに飽きない。これはすごいことだ。たぶんちょっとしたことなのだろう。だがそれはなかなか真似のできない「ちょっとしたこと」なのだろう。
ワインは、一番安いのより、ちょっとだけ高いのを頼む。奥さんはお酒に詳しいので、そんなに高くなくてもだいたい外れはない。デパートやその辺の酒屋で安いのを買うと薬のせいか、どうしても混ぜものっぽい味がするのだが、今回のも混ぜものっぽい味はしなかった。いっぺんどこで買うのか聞いたのだがその店はレストランにしか卸していないらしい。

上手い具合にSOPも前半は寝ていたし、起きてもしばらく人見知りタイムがつづいたので、ちょっとだけ大人の時間が楽しめた。早めに始めたから、SOPの調子が出てくる頃にはちょうどお客さんの切れ目だったのもよかった。ひさしぶりだし、お祝いごとだし、すっかりいい気分になって、調子にのってグラッパも頼む。ここはグラッパも充実しているので、毎回違ったグラッパが飲める。途中からホストとして料理を取り分ける役割もすっかり放棄して、なんか他人をだしにして好き放題しているだけのような気がしてきたが、幸いなことに、そのころにはすっかり酔っぱらっているので、それ以上深い反省はもうできなかった。

家に帰りSOPに薬を飲ませたあとは、どうやらもう少し起きて遊ぼうと駄々をこねるSOPよりも早くに寝入ってしまったらしい。すまぬ。

なんの話だったんだっけ、そうだ教育基本法だ。上からあれこれものを言われるのはすかん。命令ばっかりしていないで、ちゃんと仕事しろ、という反感がベースだということ。まあそういうことができない人が最近は議員になるみたいだが、その他大勢になる割り切りができないのだろう。馬鹿じゃないだろうか。結局その他大勢なのに。無力な人間が命令したからといって有力になるわけじゃない。いつまでたっても思い通りにならないのは変だとか、そう思っているのだろうが、何か根本的なところでやるべきことを間違っているのではないかという可能性に思い至らないのだろうか。思い至らないのだろうな。

そういうわけでおめでとうさん。>さくだだくんたけにくさん