Macの新製品がでる。期待していた小さいノートはインテル版を待たないと駄目みたいだ。Mac OSXにもじょじょに慣れてきた。たまにWindowsを使う必要もあるが、そのときはVirtual PCを使う。ただ問題なのは起動すると必ずWindows UPdateがかかることで、たっぷり30分は使えない。行儀のいいソフトならネイティヴで動くようになってくれると助かるのだが。それにしてもiBookは重い。小さなWindowsのミニノートをみるとついついぐらっときてしまう。が、もうしばらくiBookに付き合うことになりそう。それと純粋におもちゃとして見た場合、今回の新製品はどれも小手先でそういう意味では期待はずれ。

おそらくはIntel Macマンパワーを傾注しているんだろうけど、近頃の新製品はちょっと小手先デザインが多くておもしろみが少ない。iPod Shuffleが出たときはヤラレタという感じだったが、iPod nanoとかは小器用というか、センスのいいsonyみたいなもんで、新しい使い方を提案するようなデザインではないから、あんまり購買意欲をそそられない。まあそうそう画期的な製品ばかり出すわけにもゆかないのだろうが。

フランスに行く前ついつい持ってゆくコンピュータとしてSonyVaioを選んだ。じつはNetwork Walkmanを使いたかったから買ったようなものだったのだが、ソフトの使い勝手の悪さには閉口した。奇妙にデコラテヴなデザインのソフトだったが、どう考えても工業デザインを勘違いしているとしか思えなかった。たんに奇麗なものやカッコイイものがほしければ工業製品ではなくてオブジェとか絵を買うよ。ハードに使うから1年ちょっとでコンピュータそのものがいかれてしまい、そうなるとNetwork Walkmanはどうにも使えないものになってしまった。SONY製の著作権保護機能のついたメモリーを使う仕様になっていたが、メモリーはしょうがないからやはりSONY製の電子手帳(というかSONYが作ったのはガワだけだが)のClieのデータバックアップに使うことになった。

組合が忙しくなるともうスケジュール管理なしでは仕事が進まなくなっていた(というかああいうのはほとんスケジュールの管理が仕事だ)。しょうがないので、というか遊びながらでないとやってられないということでClieを買ったが、Palmのシステムはすごくよくできていて重宝した。今でも時々使っている。が、ここでもいただけなかったのはデザインで、プラスチックのカバーがついて流行を追いかけてみました、という感じだったが使い勝手がわるかった。小器用なデザインではあったが、やはり機能面との連携がまるでなかった。

入れ替わりのようにマックを使い出したとき、まず最初に感心したのはiTunesだった。アルバム単位での選曲という手法をすっぱり捨て去っていて、あくまでもうそれは数ある検索手段のone of themにすぎなかった。つまりアルバム主体で、そこに検索という機能が加わっているのではなくて、検索が主体で、そのうちのひとつとしてアルバムという単位があるにすぎない。フォルダの管理にはまだアルバムは生きていたりするのだが、それはもうユーザからは見なくていいことになっている。

最初はよく聞くアルバムだけをインストールしていたのだが、CDが100枚を超えるあたりから音楽の聴き方が変わってきて、検索主体の音楽管理だから、もはやアルバムの順番に聴く必要はなくなってきた。iTunesiPodが画期的だったのは、こうして音楽の聴き方を変えましょう、という提案になっていたことだ。どのあたりからそういう意識というかアイデアがあったのかはわからないが、その「デザイン」を見る限り、当初から検索という機能が前面に出ていたことは確かだ。
そのけっか、Macのあるところでは、レゲエならレゲエ、R&BならR&Bという単位で、ランダム再生にしてラジオ代わりに聴くようになった。そうこうしているうちにShuffle機能がくわわると、ほとんど毎日それで聴くようになる。Shuffleなんだったら音楽を全部持ち歩く必要はないわけで、モニターをすっぱり省略してしまったiPod Shuffleはやはり見事な機能面とデザインとの有機的な結合だったと思う。iPodは高くて買えないし、iPod miniは小さすぎて問題にならないというおれのような人がヤラレタ!となるのもしょうがないよね。

SonyだってWalkmanが画期的であったのは、上司の提案にもかかわらず、かつ技術的には可能であったにもかかわらず、頑として録音機能を(ラジオすらも)、そしてスピーカーも付加せず、純粋なヘッドフォン再生のみの機能に特化させたことだったはずだ。ユーザにとって意味のある工業デザインとはそういうものであって、機能やアイデアをかたちにすることが一番重要なポイントなんじゃないだろうか。いまのSonyのデザインを見ているとデザイン優先という言葉の意味を履き違えているとしか思えない。つまり根本的なところでセンスが悪いのだ。いくら小器用にデザインしたところで、マスに売るわけだから、結局、ヨーロッパのデザイン専門会社が作るおされ家電には全然かなわない。

いや工業デザインにはアイデアあるいはコンセプトこそが大事なのであって、デコレーションではないだろう、ということなのだった。あたらしいwalkman有機ディスプレイを使って見せましたというあたりはその気配を感じられるが、小手先であることは否めない。ああいう大企業のデザインをやるには、ちょっと器が小さいのだろう。なんか買いたくなるような新しいアイデアを見せてくれ。著作権保護機能ばかり一生懸命になって、自分が他の会社のアイデアや、欧米のデザイナーのアイデアをちょこっとだけ変えてコピーしてるってどうよ。

とまあしかしほんとのところをいうと、iMacの新しいのはちょっとほしいが、ちょっと時期尚早かな。時期尚早だけど、intel Macになって、回線がもっと太くなって、Harddiskの容量が増えていくと、ちょっとAVパソコンとやらは全滅かもなあ。技術としてはPS2ですでに実現していたはずの機能なんだけれど。追いつかれ、追い越されてしまったね。日本のメーカーに残された時間はあんまりないかも。