シラク

が倒れたらしいのだが、なんかすっかり影が薄くなってしまっていたので、倒れたことで存在していたことを思い出した。大統領は任期があるから、終わりのほうになるとどうしても人心が離れていってしまう。ブッシュもイラクもうまくゆかないところへ、今回のハリケーンですっかりミソをつけてしまい、二期目早々なのに、また両側を父親と前任者に囲まれて登場する羽目になってしまった。(下級役人への責任転嫁はいくらなんでも難しいだろうな。)

しかしテレビに出てきたクリントンはすっかり老けてしまっていて、政治家としてはまだまだ若いはずなのにはやくも隠居じいさんみたいになっていた。

大統領は王様の代わりみたいなものだから、こうやって任期がないとほんとうに王様になってしまって、政治制度がゆがんでしまうということなのだろう。そういう意味では日本で大統領制を導入すると天皇が(暗黙の内に担っていることになっている)役割とバッティングしてしまう可能性が高い。自称保守派が大統領制とか首相公選制とか言ってるから、別におれ的にはいいけど、それってどうよ、と思っていたら、そのうち気がついたかうやむやになってしまった。

しかし今日の朝刊の見出しだけ見ると自民大勝みたいで、たしかに実感もそういう感じだから(こんだけメディアで宣伝すりゃな)、しばらくこの政治体制が続くことを覚悟しなければならなくなった。本人は任期が切れたら続投しないと言ってるらしいから(手詰まりだし)、可能性としては公明がやや影響力を失うことで名実ともにキング・メーカーになって自民党内部で、角栄以来の権力を手にすることになるのではないか。小沢一郎によるとそれは人徳がないから駄目だそうだが、君主制は恐怖によって支配するのが伝統だから、小沢の見通しは希望的観測も含んでいると思う。だいたい小泉の周りで尻尾振ってる政治家を見れば(男も女も)、別に人徳を求めているようにもみえない。
ただあまり定見のある人ではなさそうだから、郵政族をつぶしてしまえば案外現実の政治はよきに計らえになってしまうのではないかと思う。(リフレだってやりかねないのではないか。)ただこういう内向きの人の常として権力行使は好きそうなので、というか昔から観察しているかぎりではそこに最大の興味関心をもっているようだから自民党の中はなかなかサブイことになるだろう。若手にはチャンス、なのだろうが。テレビに出てきて犬みたいに吠えるウザイ若造が偉くなるのはうっとおしいが。

ただまあ角栄とは性質が違うというのもおそらくはそうで(成り上がり者固有のなにかのあるなし)、政治システムというか古い言い方をすれば政体の腐敗につながりそうではある。いやすでに腐敗が進んできたから、このようなかたちでデモクラシーが崩壊してゆくのかもしれないが。良くも悪くもいままでは抵抗勢力とやらがいたから、権力行使というものにある種の求心性が担保されていたわけだが(つまりは闘争遂行状態だった)、しかし今後は少なくとも自民党内部にそのような対象がいなくなってしまうわけで、だとすると、あのようなタイプのひとはどうなってゆくのだろう。
大統領と違い制度的な歯止め(任期)は弱いので、短期的には自民党がサブイ感じに変わってしまうということいがいには、すぐにはちょっとどうなるかは分からない。(もちろん公務員もサブイだろうが、民主政権でもサブそうだしな。)そういう意味では竹中のような私利私欲の強いひとのほうがまだわかりやすくて安心なんだが。たぶんどっかで補佐官とやらが失敗してこけるだろうが、そのあとはどうなるのだろう。キング・メーカーで満足してればいいのだけれど。

あんまり油断はしてないけどね。というか人生負け続けだから慣れっこといえば慣れっこ。大きな枠組み自体を変えてしまうような場所にぼくたちはいないのであるし、おそらくはそのようなものでないところで何かを変えてゆかねばならないのであろうし。

重要な問題はこの国の場合、メディアであるというのが僕の印象で、やっぱちょっと異常な感じではあるから、だからそこをどう正常化するか、というのが考えるべき問題ではあるだろうな。
>えらいひと。