頂き物

先日東京でお会いしたばかりの訳者の澤田稔さんからいただきました。ありがとうございます。

デモクラティック・スクール 力のある教育とは何か

デモクラティック・スクール 力のある教育とは何か

ひどく丁寧に書かれた訳者解説を読みながらちょうど『社会的なもののために』のなかでも議論の対象とした、チャーター・スクールについてのがここでも紹介されていることに気がついて、理念的な話も大事なのだけれど、それよりはじっさいにどういうかたちで存在して、どのような効果ないし影響を及ぼしているのかが気になっていたので、これは一つ手がかりになるかもしれないと眺めてみたり。
ちなみに訳者の言葉を借りれば

学校選択制やチャーター・スクール(特別認可学校)は、より徹底した私事化政策であるヴァウチャー計画と主流の公立学校制度との間に現れたある種の妥協案であるだけに、不可避的に両義性を備えた施策だとはいえようが、ここで指摘しておきたいのは、新自由主義と一括され、左翼的な立場から批判の対象になることが多い政策方針や「市場」メカニズムも単純に否定できないということである。たしかに、徹底した市場原理主義を公教育に適用しようとするような新自由主義的政策に異を唱えることには正当な理由があるだろうが、同時に、上に見たような両義性から目を背けず、その政策の具体的な中身をつぶさに検討して、それがどのような両義性をそなえているのかを丁寧に明らかにする作業が必要ではないか。

とある。その他にも、ちかごろ流行のポートフォリオ(うちもやっている)の話などが、実際の教育実践のなかでどのような機能を果たしたのかといったことが紹介されているようで、これはなかなか面白そうで、たぶん教育学関係の人にとっては、たとえば導入教育で使うには良い本なのではないかとふと思ってしまったりするあたりが、我ながら歳を取ったなと思わぬでもないなど。