misc.

ああ、四月になってしまった。四月は嫌だなあ。何が嫌かといって授業ほど嫌なものはない。最近は吐き気を催すことはなくなったとはいえ、それにしても相当に嫌だ。五月を過ぎるとだいたい慣れてくるのだけれど、それでも嫌なものは嫌だ。

四月初日
今日から裁量労働制の適用。多くの教員にとってはたぶんあまりありがたみはなし。ただし過重労働のチェックは以前よりも改善されたとは思う。
意外と面白かったのは、これをやると時間休がほぼ無意味化するので振り替えも一日単位が労せずしてデフォなのかもなのはマル。日本の通勤事情を考慮すると半日単位というのはありがたみがないからね。

四月某日
大本営からコストカット方針が発表。受益者負担で入学金も値上げだそうだが、うーん。そろそろ学部別にメリハリをつけることを前提にしないとまずい気がする。ねずみは学生時代は経済学部出身なのだが、教えたのは最初はもともとは教員養成系でたぶん文学部に近い感じだったのだけれど、えらく環境が違う。最大の違いはたぶん教員と学生の比率だろう。(それでいうと理系もやはり恵まれている。)金を払う方の立場で考えれば、たとえば文と経が、なぜ同じ価格なのか、いまひとつよくわかんない感じがするな。
たぶん職業養成的色彩が強いと、どうせそれで金儲けすんだから、そのための勉強、そんなん自分で金払えやという理屈はある。たしかに、ネットでちらりと母校の数字を調べたら文と経では大学院になると定員数は逆転している。しかしそういう文系の研究者養成する大学って、ごく一部のことだから、まあそんなに研究者つくらない大学だとみんな就職しちまうし、その辺の理屈は少し怪しくなってくる。
まあ、しかしいっぺんその他の費用も含めてきっちり数字に出しておいたほうがいいんじゃないかな。人件費のこととか考えると理系はあれすごく金かけてるんだぜとか。まあ最大の問題は私学と国公立の差なんだけれど、学費やなんかはどんどん近づいてきているので、そろそろこの辺の考え方は整理せんとまずかろうと思うが、あんましそういうこと整理してくれるひといないよな。

かかるコストに比べるとどのみち圧倒的に安いのだからつべこべいうなというのもかつては一理あっただろうが、昔と違ってじょじょに負担分が増えてきているし、受益者負担ということを強調するのもどうかな。たぶん高等教育を受けた人の増加は、みなそれぞれに国民の福祉の向上に貢献するので、細かいことはあまり言わないようにしましょうという建前だったはずだと思うのだけれど、どうも理屈の向いているベクトルが違う感じがするな。だからまあ、これ以上負担を増やすということになればだけれど。

あとあれ一応、まあ一流という大学で、教員の数に比べて学生数があんまり多いのはちょっとどうかと思うな。体面上。そろそろその辺の話は文科省あたりはしてそうなもんだけどなって、そういうのがむしろ仕事のような気がするけどな。ゆとりがどうとかって、ほんとのところどうでもいいと思うんだよね。まあ現場がそれなりであれば、それなりになるし、そうでなければ、何をやってもそうならないって話だからさ。
でもまあやってんのかな。やってたらごめんよ。やってるだろうな。まあいろいろ周りがうるさいんだろうかな。アベってそういうところが馬鹿だよなって感じがするんだよな。ベクトルが違うだけでさ、たぶん自分の大嫌いなはずのものに似ちゃってるんだよな。まあアベにかぎらずだろうけど。
四月某日
某氏のお葬式に出る。午前中に知ってあわてて家に帰り、喪服に着替え、お昼過ぎからの式に間に合うようにあわてて家を出る。なんとか間に合って座っていると、去年やめて別の大学に行ったおっちゃんがあわてて入ってきた。あいかわらずこういうところは律儀。おれが電話したのは式の始まる二時間前だったんだけど、神戸の端っこから大阪の南までえっちらやってきた。
式が終わった後、遅い昼飯を食って、新しい大学のことを聞く。給料がいきなりん十万増えたとか。まあそんなもんだろう。
それはそうとやっぱ仕事はしんどいんか。
まあ300人ぐらいの授業もあるから、もう黒板とかみえへんからテレビ見せとるわ。って授業はよその人がやっとるから、おれはお世話しとるだけやけどな。
テレビって? 
天井からだーっとテレビが垂れさがっとんねん。
ああ、そういうときはモニターっていうねん。意味変わってくるやんか。まあうちの大学にもようやく今年からそういう部屋もできたけどな。ほんで給料が違う分ぐらいの仕事に差はあるんか? 
まあいまの国公立の給料で、教授になって、責任取る立場についたときは、あれはちょっと割に合わん感じやな。昔はあれでよかったんかもしれんけどな。
ふーん。

おっちゃんと南北に分かれて、電車に乗る。時間はもうたいへんに中途半端。いろいろ考えるところの多い葬式であったために、いちおうは道具も持ってきたのだが、ちょっとすぐさま仕事には復帰できそうもない。ふとそういえばこの駅で降りたことがないなあと思い昭和町で降りて意味なく西田辺まで歩く。近くに高校があるのか、高校生がだらだらと歩道を歩いている。道の向こう側にはboulangerieなどと看板の掛かったパンやが。これはうちの近辺にはない感じの店。さすがに市内だわと思ったのもつかの間、いつの間にか幹線道路なのに、両側には空きテナントが続いている。これはなんかしんどいなあと思って一筋西に入ると、アーケードのついた小さな商店街。半分ぐらいの店はシャッターが下りているが、残りの店はまだなんとかがんばっている。制服を着崩した高校生のカップルが自転車に二人乗りして、おばあちゃんがまばらに歩いているなかをゆらゆらと通り抜けてゆく。
アーケードはしかし早々に終わってしまったので、大通りに戻って歩く。西田辺の駅に近づくとさすがに大通りには空きテナントはなくなった。