夜中に

目が覚めて、歯を磨き損ねたのに気がつき、磨くうちに目が覚めてしまい、駄目人間だと思いながら眠くなるまでと思ってウェブを回ると、ホリエモン錬金術を解説したサイトにたどり着く。会計については何も知らないので細かくは分からないのだが、どうやらホリエモンの商売の種は株を売ることだったということは理解できた。株式分割とはさすれば文字通りの錬金術であり、つまりは、この事件、案外古典的な事例である。この事件がいよいよ詐欺事件めいた風貌をし、怪人めいた人物がつぎつぎと登場するのもなるほど伝統にかなったことであったのだ。

むろん法的にはいろいろ繊細な事例でもあるようだが、どうやらついに持ち札が底をついたようにも見える。この手のゲームで負けたギャンブラーは、紙くずをつかまされたことになる連中にとっては、詐欺師にしか見えない。というのもこうしたやり口は、失敗するとどれもこれもネズミ講と同じような結果になってしまうからだ。

種村季弘の『ぺてん師列伝』にはたしか「あるいは制服の研究」なるサブタイトルが付いていたように、今回ホリエモンのトレード・マークがTシャツだったというのは、大衆社会にふさわしい装いであったということか。
それにしても総理大臣までもが踊ってしまったというのは、そんなものだろうとは思うものの、 やはりちょっともの悲しい。本来こうした人物は王様の前に出るとたちまちメッキの皮がはがれるものなのだが。いやいずれにせよ王様は大衆であるのだから、メッキに目がくらむのも、そのメッキをはがすのもわれわれだということか。総理とつこうが大臣は大臣。お役人のひとりにすぎないというのもたしかだ。・・・やはり彼のひとはわれわれの見たくない分身なのだろうなあ。

岩波に版元が移っていたとは知らなかった。

上の本でも出てくるはずだが、こういう案件のはしりともいうべきローについては
テクストと表象

テクストと表象

のなかに、たしか「崩壊譚」という名前の章ではなかったかと思うが、モンテスキューの『ペルシア人の手紙』についての分析があって、これが抜群に面白い。現代思想風にやれば、いわゆる郵便問題として読むこともできるが、わざわざそう書くのも野暮か。

もともとは『モンテスキュー研究』で発表された論文で、なかにはずばり「ローとモンテスキュー」(浅田彰)というタイトルの論文もあるので、安く手に入ればこっちのほうがよいかもしれないが、今時はどうなんだろう。
モンテスキュー研究―京都大学人文科学研究所報告

モンテスキュー研究―京都大学人文科学研究所報告


赤羽裕の『アンシャンレジーム論序説』はまだ手に入るんだね。みすずが偉いのか売れてないのか。
まあ『ペルシア人の手紙』そのものがとても面白いのだ。しかし大岩訳しか手に入らないのだなあ。
ペルシア人の手紙 上 (岩波文庫 白 5-6)

ペルシア人の手紙 上 (岩波文庫 白 5-6)

ああしかも古本か。こういうとあれだが、わざわざ高い金を出して買わなくてもいいように思う。

来年のゼミでは「ペルシア人の手紙」でも読もうか。英訳は・・・
The Persian Letters (Hackett Classics)

The Persian Letters (Hackett Classics)

  • 作者: Charles de Secondat, baron de Montesquieu,George R. Healy
  • 出版社/メーカー: Hackett Pub Co Inc
  • 発売日: 1999/09
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あったあった。

フランス語で読みたいなあ(ぼそ)。