さいきんいただいた書物。赤い本その他。

むかしは本をいただくと、ブログに書いたり、ツイッターに書いたりして、いちいちお礼をしていました。その前は、わりと丁寧に読んだり、ざっと目を通したりして、いろいろ感想とか書いていたのですが、あるときからなんだかおっくうになって、書くのをやめてしまっていました。

まあ理由は自分ではなんとなくわかるんですが、つまんない dis になるので、それはやめておきます。で、なんとなく、ほとぼりも冷めてきたので、気晴らしにちょっと書いてみたりします。いや、ストレスがたまっているんですよ。

今回ここに上げていくのは、いま同じ研究会に参加しているメンバーの方々からいただいたもの。宣伝する必要もないような有名なものもあれば、たぶん、あんまりひとに知らないような本もあります。

いただいた順番で。

感染症と法の社会史?病がつくる社会

感染症と法の社会史?病がつくる社会

 

 これは著者の西迫さんから。博士論文がもとになっているとのこと。公衆衛生の話なので、以前、某書の翻訳のためにあれこれ調べていたこととネタがかぶっています。もちろん阪上孝の『近代的統治の誕生』も引かれているのだけれど、なぜか関東の人は皆、坂上孝と誤記する。誰かが間違えてそれが伝承されているんでしょう。こういうのは200年ぐらいたつと文献学の研究対象には……ならんか。ならんな。

アドルノ音楽論集 幻想曲風に(叢書・ウニベルシタス)
 

これは翻訳者のひとり藤井さんから。 藤井さんには、むかしなぜか東大阪遠足の引率をしてもらったことがあります。研究者ばっかりで、ぞろぞろと東大阪を歩いたのですが、いま考えるとよく分からないことをしていました。

ちなみに、法政大学出版局のツイートをみると「20代から晩年に及ぶ著作を収めた自伝的論集。日本を代表する音楽学者と次代を担う思想史学者が贈る、躍動感にあふれた新鮮な翻訳!」とあります。これはもう躍動しつつ担っていただくしかないな、と私もそう思います。

 それとマツジュンこと著者の松本潤一郎さんに。じつはまだ冒頭の5ぺーじくらいしか読めていないのですが、その冒頭の調子がすごくよかったので、家に持って帰りました。わりと調子のいい本をトイレで読むという習慣があって、家族に迷惑がられているのです。先日もお会いしたので、正直に5ページだけ読みました! と言ったら、すごく鷹揚に、気にせんでいい(大意)というようなことを言っていただきました。ありがとうございます。

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それと老いてなお、生産性の高い著者の小泉義之さんからもいただきました。前著の『あたらしい狂気の歴史』もいただいていたのですが、さっきも書いたように、書くのがおっくう時代だったので、ネット上でのお礼はし損ねています。これはいわゆる文芸批評で、『ユリイカ』とか、『現代思想』とか、あんまり読まないものですから、こういうものを書いているとは実は知りませんでした。これも家に持って帰って、トイレの中でちょこっと読んだりしているのですが、著者独特のサービス精神というか、煽り芸があって、これは意外と向いているではないかと感心しました。ただし「バトーは、罵倒する」というのはちょっと褒められません(世間話)。

あたかも壊れた世界 ―批評的、リアリズム的―

あたかも壊れた世界 ―批評的、リアリズム的―

 

 これを読みながら、蓮実重彦というのは何者であったのだろうなとふと考え直したり。何も考えずに読むととても気楽でいいんだけれど、ふと一歩退いてみると、なにやら素朴といっていいようなイデオロギーへの意固地なまでのこだわりが、いまとなってはむしろ印象に残る。

などなど