久しぶりに

谷町四町目の駅で下りた日の翌日は、家族で焼き肉を食べに行く。お祝いだ。何のお祝いかというと、mosaの心臓に、というか左右の心房に空いていた小さな穴がふさがったことが確認されたお祝いだ。SOPと比べて、やたらと活動的な彼女のことなので、おそらくは大丈夫だろうと思い、また医者の見立てもおそらくこれくらいの大きさであればおそらくふさがるであろうと言われてはいたのだけれど、それでも当初考えていた時期にはまだふさがってはいなかったので、少し病気をしたりすると、やはりなにがしかの不安を押さえることはできなかった。幸い、その病気も少なかったのではあるが。

焼き肉屋ではお祝いということで、「上」のついた品を頼むことにする。SOPがキャベツにタレをべったりと、しかも小指ほどの大きさにちぎってタレをつけることにたいしてもいくらか寛容に振る舞う。明日(というか今日)も授業があるのだけれど、そこもまた寛容に。

mosaはやはり元気にテーブルを伝って歩き回り、宅の上に乗っているさまざまなものを下に落とそうとする。mayakovがためしにチヂミをあげてみると上手に食べている。平均よりはやはり遅めなのだけれど、小さな歯が生えはじめているのだ。ひとつ重石がとれる。もうすぐ一歳。

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雨が降りそうだったので、いつもより急ぎながら自転車を漕ぐ。陸橋を下りる。去年使っていた手袋が片方しかなく、素手で自転車を走らせると、そろそろ手がかじかむようになってきた。そろそろ寒くなってきたなあと言うとしばらく考えたあと、とつぜん
ちきゅうおんだんかはしんぱいだねえ、とSOPが言い出す。
大変なの?
たいへんなんだよー。
たぶんNHK週刊こどもニュースだろう。いつだったか、紀州であったか神戸であったか、どっちの実家もニュースを見る習慣があるから、テレビをつけていたら、この番組になって、「週間こどもニュース!」という声が聞こえたところ、絵本か何かを読んでいたSOPが顔をむくっと上げてそのまま見入ってしまった。どうやら自分も子供なのでみないといけないと思い込んだようだ。
あの番組は殺人事件やなんかも取り上げたりして、個別の事件に過剰反応するという日本の民放ニュースの悪いところ(タブロイド紙のような傾向)に引きずられているところがあるのだが、まあそれでも夕方6時台に機嫌良く見ていてもらえるのは大変にありがたい。それはそうと温暖化の何が大変なのか質問しようかなと思っていたら、こんどは
えんだかとでふれにもこまったものだよー、と言い出したもんだから思わず吹き出してしまった。
円高とデフレはたしかに困ったもんだよね。
そうなんだよー。いろんなものがやすくなってねー・・・・・・
と続いたところでしばし沈黙し、
つくってもつくっても、ものがうれないんダヨー。かいがいとかー。
と、あやふやなりにわりあい正しいことを言う。あまりしゃべっていると質問されたらまずいと思ったのか、SOPのほうから質問がやってきた。
でもなんでえんだかやでふれになるのー
なんで、ってまあいろいろあるけど、日銀の金融緩和が足りないっていうひとが多いねえ。ちがうっていうひともいるけどねえ。
きんゆうかんわ・・・・・・
と、ここで親子の会話は終わってしまった。こんどは金融政策についてもお願いします>週刊こどもニュースのなかのひと
でも、幼稚園でうまくやっていってるのかなあと、餅つきイベントの日であったので、園庭に向けて元気よく走り出したSOPの背中を見ながらふと心配にもなる。