しかし

前回に引き続いて今回も与党が2/3ぐらい取っちゃったわけで、この仕組みの枠内でいちいち改憲していたら、フランスもびっくりなぐらいに憲法が変わることになるなあなどと速報を見ながら思う。

また一からやり直しなので、本来は5年前に終わっているはずだった理念の現実のすりあわせをもう一度やらねばならない。非能率なことこの上ない(本来であればある意味、今回が麻生のターンだったわけだ)。清和会という(与党内)野党政権がうやむやのうちにそれこそ中選挙区という制度の産物でもあった疑似政権交代を、小選挙区のなかでやってしまったものだから、なにか時間を5年ぐらい損してしまった感じがする
前回の小泉選挙というのは、結局こうなってみると、やっておかねばならなかったはずの政権交代が怖いので、慣れ親しんだ疑似政権交代でお茶を濁したということだったわけだ。

自民党という看板があるから多少は実務的に見えていたけれど、蓋を開けてみたら、田中派支配のなかで冷や飯を食っていた万年党内野党の連中(親分が文教族だものな)が権力を握って舞い上がったのか、嵐のなかで実務よりおもちゃ(イデオロギー)をついつい優先してしまい閉口した。小選挙区のなかで中選挙区時代に見ていた夢を実現させてしまったら、やはり夢の実現は現実の悪夢だった。

冷戦という落合信彦ワールドに生きているような単純な連中が多かったのか、たんに声が大きいだけだったのか。だいたいリバタリアニズムなどというものが、学者はともかく、まともな(権力を狙うような)職業的政治家が半分でも本気で掲げるような看板であろうはずがない。

それにしても、小心な二世議員が続けて総裁になっていたのも、まさにそういう口先の威勢の良さと、現実の手腕との乖離を象徴していたのだなと思う。

経団連政治部も似たようなものなのはしかし、なんとかしてくれ。しかもこっちは政権交代がないのでガバナンスの比重がひどく大きい。スパイ小説でも大量にあたえて隠居でもさせておいてはもらえまいか。

しかし今回、清和会がボロクソになっていれば、前回の疑似政権交代と今回の政権交代も、きちんと役割を果たしたことになるが、じっさいの派閥別の構成比はどうなっているのだろう。
自民との連立を主導したような連中が、ことごとく比例名簿から外されて、議席を失ったことからしても、公明もあからさまに距離を取り始めているのだろうから、落合信彦ワールドに生きているような連中が、要するにメディアで大声でののしれば勝ちだとばかりに、相変わらずでかい声で胡乱なことを言い続けていると、与党の時とちがって野党なのだから日々の利権も制度的権限も薄いわけでこれはしかし気がつくと砂上の楼閣に大砲を据え付けるということになるのではないか。

まあ小泉チルドレンがほとんど落ちて、小泉チャイルドが当選したというのがなにかの象徴になるとすれば、これはしかし、深刻なことになるだろう。あれは外しておくべきだったということになりそうな気がする。