夏のひとこま

by mayakov

帰省のさい、隣町の浜に出かけた。海の向こうに山が見える。

この浜はしかし人工の浜だ。別の場所から観光客を当て込んで砂を運んできたらしい(じつは日本の多くの浜がそうだ。Google Mapで上から見ると一発でわかる。

たとえばここもそうだとおもう(http://maps.google.co.jp/maps?f=q&hl=ja&ie=UTF8&om=1&z=16&ll=34.62724,135.041403&spn=0.012077,0.015364&t=k)

砂浜などという上品なものは僕らの子供の頃にはなかった。一歩足を進めるたびに何十(何百?)匹ものフナムシが一斉に逃げまどう岩ばかりの海だった。しかもそこに行くには、山を登り下りして尾根を超えなければならず、小さかった妹は海がどうして山の上にあるんだろうと不思議な気持ちになったらしい。
そういう話をすると、mayakovは連れて行ってもらってないと抗議するが断崖絶壁なので危なくて連れて行けない。この浜にはトンネルが通じているから、そんな厄介なことはせずに済む。

ニュースでその薬漬けが報道されたせいで、はまちの養殖も下火になり、僕が子供だった頃に比べると海もきれいになったらしい。それにいま養殖はこうした小さな入り江でなく、もっと大規模に牧場といってもいいようなスケールで行われている。親戚のひとりは、沖縄の近くにあるその「牧場」から養殖魚をはこぶ、いわば海のトラックとも言えるような船に乗っている。いまはそういう漁師もある。祖母の死を知って、彼は瀬戸内海で船を下り、新幹線と在来線を乗り継いで、港のあるこの町までやってきた。

戻れない場所。偽の記憶。