おとついの

土曜日は、メモ代わりに日記をざっと書いたあと、Yす子さんを誘って吉原治良展に。阪神間モダニズムというものへの興味。初期から戦中にかけてのものは同時代の海外の作家の影響があるようにも思ったけれど、図録を見ると初期の段階では『白樺』や『みずえ』などの雑誌、それに松方コレクションや大原コレクションなどに触れ、セザンヌゴッホなどは見ていたとのこと。なんとなく腑に落ちないが、美術史がらみのことはよく分からないので、まだなんともいえない。
時代時代でときどきハッとするような絵がある。(だから疑問はそれはある以前にたとえば展覧会や画集などで獲得されたアイデアからの、自律的な展開としてその達成であり、そのもとのイメージに含まれていた構造なり本質なりのそれなりに徹底した理解の上での成果が、結果的に同時代的な潮流と呼応することになったのか、あるいはもう少し直接的な同時代の絵画の潮流の影響および咀嚼なのか。)

こういうと前に書いたことと矛盾するが、テクストは「全部」読まなくてもいい、ということもある。徹底的にあるテクストを読み込むと、その著者の後期の作品を読まなくても、結果的にその後の自分のテクストが、その著者の後期の作品で書かれているようなものに似てきてしまい、後で読んで、あまりに自分と同じような思考の展開をそこに発見してギョッとすることがある。

mayakovは具体の絵というと絵の具が盛り上がっていて下品なイメージがあったけど、意外に繊細でよかったとのこと。あと、戦中に描いた防空壕の絵がウッチェロにちょっと似た感じがすると言ってたけど、たしかに色調がそれだけ違っていた。Yす子さんは栴檀は双葉より芳しと評す。SOPはコイン・ロッカーに出たり入ったり。SOPがいて、ちょっと周囲には迷惑だったかもしれないけれどどうしても見たかった。すまん。けど最後の円のコーナーでは、人もいなかったこともあって、筆の軌跡にあわせてmayakovがSOPをぐるぐる回すとえらく喜んでいた。
ただ絵はもう少しあってもよかったかなあ(スペースそのものがいっぱいいっぱいだったけれど)。けれど見る価値はあるよ。

日曜は某所で研究会ってまあA研なので某所もくそもないのだが。前半はテロリズムの話。ひさしぶりに左翼節を聞いて、なんとなくほっとする。自分自身が右傾化ないしは保守化傾向が甚だしいからかも。
続いて港湾労働者の5-60年代の労働運動。地理学方面は疎いのだけれど、割合昔から考えていたようなことでもあったので興味深く聞く。あと多少かいま見た世界の話ではあったので思わず自分の体験を少ししゃべってしまう。対面に座った方と組合話で盛り上がる。
ある種の理論装置なしにはしかし歴史学との差異化をはかるのが大変なのかもとあとで思うが、しかしそれは地理学に限ったことでもないか。

ただ、少ししゃべりすぎたと反省。しかしこればかりは反省しても反省しても繰り返してしまう。(自分がホストの立場にいるとき(ゼミとか)では、かなりうまくやれるようになってきたのだけれどゲスト意識があると、ついやってしまう。しかしもうそろそろやめるべきなのだ。)

終わってから都市中流夫妻引っ越し前にどうしても旧居を荒らしておく必要があって、タケニクさんを交え送る会。サクラダさんも飛び入りで参加。焼き肉を食べる。

というわけでこれから明日の準備。眠いが、まあ勢いもついたことだし、と日記には書いておこう。