林周二の

流通革命』を読んでいたら、

女性の身体の線や脚の線がキレイになったのはスポーツの普及だけでなく、ふすまの開け閉じに「小笠原流」を強制されることがなくなったことの影響も大きい。冷蔵庫のドアはペダルを踏めば足であけられる。

あぁー、ペダルのついた冷蔵庫。記憶の片隅に。宮ノ上のばあちゃんの家の冷蔵庫にはたしかペダルがついていたような。

まだ小学校にも行ってなかったかもしれない俺は意味も分からずに「いらんものはコメヒョーにうろー」とさけんで、台所でもあった土間にとびおりる。そしてその右側(左側?)にあった冷蔵庫には……

本当の記憶?捏造された記憶?(コメヒョーは一度も見たことがない。それは確かだ。)
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濡れた洗濯物をしぼる手回しローラーのついた洗濯機はばあちゃんの裏にあった。それは確かだ。じいちゃんお手製の「ぱん」焼き器もあった。それも確かだ。かまぼこの板ぐらいの大きさの板を組み合わせて箱を作り、箱の前後に向かい合わせに電極をいれて、その電極につながった線を、コンセントにつなぐと電流が通るという電気椅子式のハンド・メイド・パン焼き器で、サツマイモのまざったパン生地(のようなもの)を入れて焼き上げた。ブレーカーが落ちなかったのはなんでだろう。
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林周二ののこの本には、月給時代はおわって、もうすぐ週給時代がやってくると書いてある。終身雇用はとっくの昔に終わり、技術者を中心として実力主義の時代がやってきていたはず。

1962年の本。

この時代、労働力の減少というか不足がひとつのオブセッションである。
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そうか、あのパン焼き器は、電熱器をばらして組み立てたんだな! そんな気がしてきた(とすると電気椅子式ではないのか)。

ちなみにじいちゃんは孫(おれだ)が生まれたのを機に、風呂をハンド・メイドで作ってしまった。浴槽はタイル張りだったが、壁と屋根はトタンで、ホースはビニールだった。事故がなくてよかったなあ。