すい

すいなよう。とよく祖母はそう言っていた。祖母ほどではないが、母や叔母からもときおりこの言葉が聞かれるときがあった。あったというのは、いまはもうほとんどこの言葉を耳にすることはないからだ。富岡多恵子が西鶴について書いた『西鶴の感情』のなかで…

misc.

SOP

病院の駐車場には空き台数を表示する電光掲示板がある。SOPたちを見送りに車いすで玄関まで下りた。嫌がるmosaを自転車に乗せているあいだ、いつものようにSOPが掲示板を見て143台だと嬉しそうにぼくに話しかけてくる。143だから100台と40台と3台だよと言う…

天下茶屋

聖天山に続く曲がりくねった道の反対側には北天下茶屋の駅から、南海の天下茶屋駅まで続く薄暗いアーケード街がある。この路面電車の駅を下りてすぐは、壁を手で押すとそのまま崩れてしまいそうな店舗が連なっている。この10年のあいだにも、営業をやめた店…

帝塚山

この天下茶屋から東に坂道を登っていくと、住宅街が広がっている。戦前の東京周辺の宅地開発が同時に文教地区の形成を目指していたように、松虫から帝塚山にかけてもかつては大学を含め、とくに私学が多く存在していた。ぼくがはじめて働いた公立の学校もも…

阪堺線

しばらく続けていた仕事がすこし落ち着いたので、電車に乗って天下茶屋で下りる。夏休みになれば手術を受けねばならないから、しばらくはこうやって歩くこともできないという理由もある。廃校になった前の職場に勤めていたとき、今時は珍しくなった路面電車…

アリンスキー・ノート7(最後)

アメリカの子供たち ウエルズリーの四年目は、わたしの信念を試し、明確にするものとなった。卒論では、シカゴ出身で地域活動家のソール・アリンスキーの著書を分析した。彼とはその前の年に会っていたが、長いキャリアを通して、きまって相手を怒らせるとい…

アリンスキー・ノート6

郊外の行方 田園と農園の入り口近くに工場と作業場を設置し、そこで働くことにしよう。むろん大規模なものではあってはならない。そうした大工場では大規模な機械設備が必要になろうが、それは自然条件によって決定される特定の地域に置かれるべきであろう。…

アリンスキー・ノート5

ラディカルよ目覚めよ わたしたちの近代的都市文明のなかで、ひとびとは、アノミーにうちひしがれています ―― それは自分の隣にだれが住んでいるのかも知らず、関心すらもっていないという生活のスタイルです。人びとはコミュニティからも、そのネーションか…

アリンスキー・ノート4

*** 細かい話は中略。 ***社会学と社会運動 バック・オブ・ザ・ヤードはかつて悪名高いスラムであった。偉大なジャーナリストであり、改革のための活動家でもあったアプトン・シンクレアがこの都市の底辺生活と人の使い捨てを『ジャングル』のなかで描…

アリンスキー・ノート3

ジャーナリズムと社会学 最初はドイツ人一家だった。四家族はどれも国籍が違っていた――ストックヤードに入れ替わり立ち替わり現れたいくつかの人種を代表する者たちだった。マヤウシュキエーネが息子とふたりでアメリカに渡ってきた当時、彼女の知っているか…

アリンスキーノート2

膨張する都市 世界中の豚肉はこの屠殺屋が手を下した 機械を組み立て、小麦を積み上げ 鉄道を乗り継いで、国中の貨物を引き寄せる 嵐のように、荒々しくも騒々しい 肩をそびやかすこの町カール・サンドバーグ『シカゴ詩集』1918 近代の、とりわけ工業都市の…

アリンスキー・ノート下書き1

バラク・オバマの困難 ……黒人コミュニティの組織化はまだ途方もない困難に直面している。多くのコミュニティでは自信が失われ、しかもそれには理由があるということがひとつ。シカゴは地域の組織化(コミュニティ・オーガナイジング)の発祥の地であり、かつ…

久しぶりに

谷町四町目の駅で下りた日の翌日は、家族で焼き肉を食べに行く。お祝いだ。何のお祝いかというと、mosaの心臓に、というか左右の心房に空いていた小さな穴がふさがったことが確認されたお祝いだ。SOPと比べて、やたらと活動的な彼女のことなので、おそらくは…

追記の追記

けれど、もしフランス語の本が買えるようになったら、ぼくはたいへんな額のお布施をしてしまうだろう。そしてますます日本語の本を読まなくなりそうな気もする(パパのお財布には限界があるのでな)。そういう意味では、この版権で何を守っているのかといえ…

追記

現状Kindle Storeがどうなっているかをわかりやすく言うと、こと小説にかんしては、大阪や京都といった地方都市の洋書屋の棚に似てしまっているのがひどく辛い。東京の本屋と勝負すれば圧倒的に負けてしまっている。翻訳が出て、しばらく時間のたっているよ…

Kindle

アマゾンのキンドル(Kindle)を買ってしばらく使ってみた。感想はといえば、これは買わない方がいい。 * ハードが悪いのではない。むしろあの電子インクはよくできている。操作性もまあ許容範囲。何が悪いといって売っているソフトがまるで駄目。ハードはそ…

土曜は

研究会。SOPはやや落ち着いたが、主治医のところで定期的に見てもらう日であったのに加えて、mosaが発熱したので、それぞれ二手に分かれて医者の扉をたたく。そういうわけで一時間遅れで参加。あいかわらずの羊たちの饒舌。なんだか久しぶりに学問の話。 * …

というわけで

政治主導って財務省の下請けだったのかという気もしないではないですが、そんなことより、思っていたとおり小泉劇場第二幕はちゃくちゃくと進行中。 小泉劇場の時にはそれほど不安がっていなかった人たちも、このままアサヒとかについて行っていいのだろうか…

福井の米は

しかしコシヒカリであった。ひとがみな誰も彼もがコシヒカリを連呼する理由がよく分かったが、さてああいうコシヒカリが近所で買えるのかどうかよく分からない。

お米の話

ふだん、お米は近くの米屋に買いに行っている。幹線道路に面しているために、前にちょっとした駐車場になるスペースを作っている。売っている米の袋には、その店の名前が印刷してある。店に行くとときどき自分で玄米を持ち込んで、店にある機会で精米してい…

さようなら!

福井のお米。おいしかったよ! 福井のお米! * お礼が遅れましたが。おいしゅうございました。一同堪能いたしました。新米のみで食べたり、玄米とブレンドしたりして食べました。

久しぶりに

学校の生協に行ったら、希望学のコーナーができていてびっくり。南大阪までくるとは、希望学、侮りがたし。希望学2 希望の再生作者: 東大社研,玄田有史,中村尚史出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2009/05/15メディア: 単行本 クリック: 13回この商品…

というわけで

41才の春も夏も秋も終わりました。42才の秋が始まります。そういえば天才バカボンのパパと家族構成も同じになりました。いや〜、学成りがたし!

Funkin’ for Jamaica

疲れたときの景気づけ。 Alabama State Universityのみなさんは最高です。 ちなみに1997年甲子園ではパフィーの曲がテーマソングでしたから、そんなことしている場合ではありませんでした。日米その後の運命を暗示しているかのようです。 では今日もがんばり…

いかにも

団地の台所に張ってありそうな、たしか黄緑色の化学素材のシートが貼られた床の上に、精も根も尽き果てたといった体の下バーバがぺたりと座り込んでいる。引越を明日に控え、きっと無理をしているだろうから様子を見に行こうかと、階下の部屋のドアを開ける…

下バーバ

に出した手紙が戻ってきてしばらくになる。下バーバはおそらく東京の生まれで、大阪で商売をしていた男性と結婚した。会ったときには92であったか3であったか、いずれにせよ70年以上はもう大阪に住んでいたはずだが、しゃっきりとした東京弁を話し、SOPにた…

welcome!

全国の皆さん。大阪へようこそ! http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091301000373.html

テンションがあがりつつあるせいか

少し気を抜くとついつい人をdisってしまうので気をつけないといけないのだが、先日ふとしたひょうしに、『10+1(ten plus one)』という雑誌の最終号がメタボリズムの特集だと知って、手に入れてみた。この『10+1』というのは昔出始めの頃に何冊か買ったりし…

前回のYoutube

のクリップは、Cat Powerだった。 いかにもフランスの音楽番組らしい、垢抜けない感じがなんとも懐かしい。 こっちはBBCなんだけど、なぜだかルーブルの横で売ってそうなシャツを着ている。なんかもうチチとかは見せてもいいんだろうな。 こっちが元ネタ。さ…

追記の追記

そうそう、そういう意味では、ヤバい社会学作者: スディール・ヴェンカテッシュ,望月衛出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2009/01/16メディア: 単行本購入: 28人 クリック: 622回この商品を含むブログ (52件) を見るこれはよく食い込んでるよな。わか…