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現代思想ってなんだ

貰ってばかりで申し訳ないのですが、またまた研究会のメンバーから。 <68年5月>と私たち: 「現代思想と政治」の系譜学 作者: 王寺賢太,立木康介 出版社/メーカー: 読書人 発売日: 2019/04/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る こんどは68年5月を…

さいきんいただいた書物。赤い本その他。

むかしは本をいただくと、ブログに書いたり、ツイッターに書いたりして、いちいちお礼をしていました。その前は、わりと丁寧に読んだり、ざっと目を通したりして、いろいろ感想とか書いていたのですが、あるときからなんだかおっくうになって、書くのをやめ…

今年の三冊と思ったら、四冊あったし、今年のじゃなかった。

そろそろ今年度の三冊とか書こうかとか思っているのだが、なかなかうっかりしていて、いつも忘れてしまう。書くのも忘れてしまうし、読んだものも忘れてしまう。読書の忘却装置みたいなものだ。いつものとおり、仕事に直接関係のない本、もらったわけではな…

書評 ロベール・カステル『社会喪失の時代』

昨年に出版されたロベール・カステルの『社会喪失の時代』(北垣徹訳、明石書店)の書評です。あまり直接的な書評になってはいないのですが、途中で出てくる『トリスタンとイズー』は、この書物のなかの第10章、「社会喪失の物語 −− トリスタンとイズーにつ…

政治の季節?

ピエール・ブルデュー『介入。社会科学と政治行動1961-2001』 介入 ? 〔社会科学と政治行動1961-2001〕 (ブルデュー・ライブラリー)作者: ピエール・ブルデュー,フランク・プポー,ティエリー・ディセポロ,櫻本陽一出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2015/03/…

2014年、印象に残った本。

去年はあんまたくさんの本を読めなかった。最近、管理ができなくなってきたので、なるべく買った本の記録を取るようにしてるのだけれど、それを見てもここ数年では一番本を買っていない。ひとつには去年はアレントにいろいろ付き合わないといけなかったとい…

頂き物。アナーキー・イン・ザ・JP

共著者の森直人さんから御恵投いただきました。教育システムと社会―その理論的検討作者: 広田照幸,宮寺晃夫出版社/メーカー: 世織書房発売日: 2014/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る【新品】【本】教育システムと社会 その理論的検討 広…

頂き物

一回書いたらふとしたはずみで消えてしまってショック……。 編者の澤田さんからいただきました。ありがとうございます。シリーズ学びの潮流2 子どもを学びの主体として育てる (シリーズ新しい学びの潮流)作者: 守屋淳,上地完治,澤田稔,奈須正裕出版社/メーカ…

頂き物

万葉びとの宴 (講談社現代新書)作者: 上野誠出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/04/18メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見る著者の上野先生からいただきました。 やや教養主義的な本の読み方をしていた十代の一時期を除いて、ほとんど文学なる…

頂き物。岸政彦『街の人生』勁草書房

街の人生作者: 岸政彦出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2014/05/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (26件) を見る著者の岸さん、いやきしどんからいただきました、あ、きしどんがくれました。ありがとう。 いろいろ心配してたんだけどw、すごくいい本…

ネグリの季節?

某O氏が、あれは読めるよ!と驚いていたので、じゃあと買ってみたら、編集の大村さんがわざわざ送っていただたところでした。そういうわけでなぜか同じ本が二冊になって、何かファンのようになってしまいましたが、まったくそういうことではありません。 こ…

今年のx冊(候補)

ロック二冊 ヴィンセンテリ『アバ・ゴールド (ロックの名盤! )』 ブレイディみかこ『アナキズム・イン・ザ・UK −壊れた英国とパンク保育士奮闘記 』(ele-king books) この二冊が今年の収穫であることは、多くの人に頷いてもらえると思う。前者はじつは編集の…

頂き物 蛮勇がやってきましたよ

西洋政治思想史 (有斐閣アルマ)作者: 宇野重規出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2013/10/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (12件) を見る民主主義のつくり方 (筑摩選書)作者: 宇野重規出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/10/15メ…

頂き物(教育さん週間?)『福祉国家と教育』

福祉国家と教育―比較教育社会史の新たな展開に向けて (叢書・比較教育社会史)作者: 広田照幸,岩下誠,橋本伸也出版社/メーカー: 昭和堂発売日: 2013/10/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る以前は一緒に会議室で夕飯を食ったり教育さんと仲…

頂き物

先日東京でお会いしたばかりの訳者の澤田稔さんからいただきました。ありがとうございます。デモクラティック・スクール 力のある教育とは何か作者: マイケル・W.アップル,ジェームズ・A.ビーン,James A. Beane,Michael W. Apple,澤田稔出版社/メーカー: ぎ…

頂き物。

科学と表象―「病原菌」の歴史―作者: 田中祐理子出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2013/03/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る著者の田中祐里子さんからいただきました。ありがとうございました。 読んでいると、そのひとと面識が…

頂き物。

解説を書いている市野川さんから御恵投いただきました。コント・コレクション ソシオロジーの起源へ (白水iクラシックス)作者: オーギュストコント,杉本隆司出版社/メーカー: 白水社発売日: 2013/03/26メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 2回この商…

2011年に記憶に残った本

たくさんのひとが、本を紹介しているのを見て、自分も2011年のベストのようなことをやろうしてみたのだけれど、さっとタイトルが上がらなくて、自分の勉強不足を痛感することになってしまう。読み終えた本はひどく少なく、それに2011年に出た本もほとんどな…

補遺2

二人の脳裏にはいまだかつての廃墟だった頃のイメージが強く残っていたので、突然目の前に現われた高層ビルが、まるで廃墟の地底から現出したような錯覚に陥ったのだ。 「凄いな。いつの間にこんなものができたんや」 二人はしばらく林立する高層ビルを呆然…

補遺

わが大阪の明日は、工業地域、準工業地域、住居地域、商業地域と、区分けはいまよりもさらに画然となり、その間を縦横に広々とした道路が貫通している。地下鉄は高架となって、市内から市外各所にのびている。千里山の団地はすでに完成して日本一の規模を誇…

岸里、天神ノ森2

南大阪と天王寺を結ぶ上町線と恵美須町を結ぶ阪堺線はちょうど阪神間がそうであるようにそれぞれが異なる階層の人びとが住む地域を結んでいる。『めし』の主人公である三千代が使っている天神ノ森の駅は、より貧しい地域を通っており、高級住宅地である彼女…

岸里〜天神ノ森

林芙美子の『めし』は小説というよりもむしろの映画のほうが有名かもしれない。未完ということもあるが、小説としてはそれほど面白いものでもないからだ。あらすじだけを言うと身も蓋もない。つてを頼りに仕事を求め東京から大阪にやってきた(というよりも…

天下茶屋2

南海の天下茶屋と阪堺線の北天下茶屋のあいだの商店街は、三つの部分に分かれている。南海側のもっとも天井が高くタイル舗装され、いかにも支援事業で整備しましたという風情の比較的「近代的」な部分。そしてその奥には、言葉の上では同じようなアーケード…

すい

すいなよう。とよく祖母はそう言っていた。祖母ほどではないが、母や叔母からもときおりこの言葉が聞かれるときがあった。あったというのは、いまはもうほとんどこの言葉を耳にすることはないからだ。富岡多恵子が西鶴について書いた『西鶴の感情』のなかで…

天下茶屋

聖天山に続く曲がりくねった道の反対側には北天下茶屋の駅から、南海の天下茶屋駅まで続く薄暗いアーケード街がある。この路面電車の駅を下りてすぐは、壁を手で押すとそのまま崩れてしまいそうな店舗が連なっている。この10年のあいだにも、営業をやめた店…

アリンスキー・ノート7(最後)

アメリカの子供たち ウエルズリーの四年目は、わたしの信念を試し、明確にするものとなった。卒論では、シカゴ出身で地域活動家のソール・アリンスキーの著書を分析した。彼とはその前の年に会っていたが、長いキャリアを通して、きまって相手を怒らせるとい…

アリンスキー・ノート6

郊外の行方 田園と農園の入り口近くに工場と作業場を設置し、そこで働くことにしよう。むろん大規模なものではあってはならない。そうした大工場では大規模な機械設備が必要になろうが、それは自然条件によって決定される特定の地域に置かれるべきであろう。…

アリンスキー・ノート5

ラディカルよ目覚めよ わたしたちの近代的都市文明のなかで、ひとびとは、アノミーにうちひしがれています ―― それは自分の隣にだれが住んでいるのかも知らず、関心すらもっていないという生活のスタイルです。人びとはコミュニティからも、そのネーションか…

アリンスキー・ノート4

*** 細かい話は中略。 ***社会学と社会運動 バック・オブ・ザ・ヤードはかつて悪名高いスラムであった。偉大なジャーナリストであり、改革のための活動家でもあったアプトン・シンクレアがこの都市の底辺生活と人の使い捨てを『ジャングル』のなかで描…

アリンスキー・ノート3

ジャーナリズムと社会学 最初はドイツ人一家だった。四家族はどれも国籍が違っていた――ストックヤードに入れ替わり立ち替わり現れたいくつかの人種を代表する者たちだった。マヤウシュキエーネが息子とふたりでアメリカに渡ってきた当時、彼女の知っているか…